アラジンの店主逝く

自家焙煎コーヒーの「アラジン」は、私の行き付けのコーヒー店でもありますが、店主の永田勉さんは古くからの友人の一人でもあります。
先日、彼はとつぜん、消えるようにお亡くなりになりました。
妻のセツコさんが、いつもの時間が過ぎてもお店に出てこないのを不審に思いながら、しかし店を閉めて様子を見に行くこともできないまま、閉店を待ちました。電話も何度かしたそうです。
彼はベッドの上で、眠るように、あるいは眠ったまま、ひっそりと旅立っていたのです。

少し前、私は久しぶりに「アラジン」にいきました。カウンターのいつもの椅子にかけると、セツコさんはいつものコーヒーを入れてくれます。深入りのマンデリンです。いろんなコーヒーを一通り飲んだあとに落ち着いたのが、マンデリン。苦味ばしった深い味は私にぴったりきました。

永田さんは、ニコニコして上機嫌でした。なんとか生きてます、というのが私たちの挨拶ことばです。いつ、誰が、お呼びがかかるかわからからねといって、ともかく生きて会えたことを祝福するような気持ちが伝わります。思えば、永田さんはとても優しくなってました。人生のアクのようなものがすっかり浄化されているように思えました。

自家焙煎にこだわり、丁寧なハンドピックをするあまり、腱鞘炎になったり、肝臓を壊したり、思うようにならない身体と折り合いをつけながら、25年間を世界のコーヒーと付き合ってきました。まさに命をかけた仕事ぶりでした。
お疲れ様でした。悔いることなど何もないと思います。
どうぞ、ゆっくりお休みなさい、と言ってあげたいと思います。

私の案内で、アラジンに行ったことのある方も多いと思います。どうぞご冥福をお祈りしてください。あの世への出立は、8月20日正午ごろだったそうです。合掌
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by sanenbana | 2007-08-24 20:29 | あまみ便り